院長コラム

閉経する頃から『膀胱炎を繰り返す』症状について

2025/03/12

 閉経する頃になると体のあちこちに不調を感じやすくなります。

 その症状の一つに、膀胱炎を繰り返すようになる、ということがあります。今までは膀胱炎にほとんどならなかったのに、これまで同様清潔にしているのに、一度膀胱炎になったのをきっかけに、膀胱炎を繰り返すようになった、という症状です。

 ほとんどの方が人一倍清潔に気を配っていらっしゃるのに、症状を繰り返す、いつなるかわからないので不安になる、泌尿器科外来でも、治療に難儀する、お互いに悩ましい症状です。

(膀胱炎だと思って受診しても膀胱炎ではないと言われる、という症状については、別の機会に書きます)

 原因としては、免疫力の低下や、尿失禁、便失禁、パッドの利用、頻尿を恐れて水分を控えている、膣萎縮(女性ホルモン低下)、臓器脱、尿路結石、排尿後に膀胱の中に尿が残っている、糖尿病、神経に関する病気、尿道カテーテルを使用している、などが挙げられます。

 治療・予防方法について、大規模な研究や報告はほとんどありません。

 症状の特徴として、20代の方の膀胱炎の症状が、痛みや残尿感、血尿が多いのに対してこの年代の場合、これらの症状と同程度に、尿の混濁、尿の臭い、という症状が、痛みや残尿感と同等に多いことです。それだけ、弱い症状でも、悩まされることが多いということがよくわかります。

 これまでの報告でも、『誰にでも効果がある、決定的な方法』、は残念ながら、ないようです。抗生物質(抗菌剤)の内服、少量を継続的に内服する方法、漢方薬、ホルモン膣剤、膣用の乳酸菌、水分を積極的にとり尿を溜めすぎない、排尿後に尿が残らないようにする(無理やり力むことは、新たに不快な症状を引き起こすことがありますので、安易にしないでください)、サプリメントなど。お薬以外では、ビタミンC、ニンニク、クランベリー、L-アルギニン、D-マンノースなどのサプリが、取り上げられていますが、これらについては、必ずしも全てに信憑性があるとはいえません。

また、抗生物質(抗菌剤)を正しく使うことを考えると、さらに頭を悩ませることになります。

 当院では、エコー検査や、膀胱鏡検査を行い、排尿障害がないか、尿路結石がないか、悪性の病気(膀胱がん)がないか、慢性的な炎症があるのか、それとも、急性の膀胱炎を繰り返しているのか、間質性膀胱炎がないか、などを調べます。

その上で、治療方法を患者さんと相談して決めていきます

 お薬による治療の場合、アレルギー・副作用がないもの、続けられるものを選びます。お薬の種類は多くはなく、限られていますので、消去法ではもったいないので、少しでも可能性のあるお薬をなんとかうまく使ってやろう、という心意気で、私は考えたいと思っています。例えば、便が硬くなりやすいので飲みたくない、という時は、多くの場合はお薬の性質なので(腸閉塞の方など一部の方を除いて)便を柔らかくする薬を併用したり、というふうに工夫します。次から次へと新しいお薬が湧いてくるわけではありませんので、今、使えるお薬のいいところを使って治療する、ということが大切ですし、そうせざるを得ないというのが現状でもあります。

 また、同じお薬でも飲み方を変えてみたり、これまで効きにくいと思ったものでも、違うタイミングで使うと効果が出る場合があります。

 検査をしたら膀胱炎にならないか?と言われることがありますが、それは、難しいかもしれません。もちろん、そうであって欲しいですが、残念ながら、必ずしも解決するとは限りません。検査はスタート地点です、現状を把握してから、治療方法を患者さんと相談しながら行っています。 

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