院長コラム

「膀胱炎」のお薬について

2024/10/31

膀胱炎の原因は、いろいろありますが、最も頻繁に遭遇するのは、細菌感染、つまり尿道の外から膀胱に入って炎症を起こす、細菌性膀胱炎です。

泌尿器科外来では、尿検査、と言っても検診や内科で受けるような、簡易検査(尿定性検査)だけではなくて、遠心分離機にかけてから顕微鏡で見るという、より詳しい検査を毎回行なっています(尿沈渣)。

細菌性膀胱炎では、多くの場合は、大腸菌が原因となりますので、それにあったお薬が処方されます。

コロナ禍以降、菌の種類をあまり想定されていないような、場合によっては尿検査もせずに強いお薬が処方されている患者さんと、細菌に合わせて、最低限で適切なお薬を処方されている患者さんに、二極化していると感じます。

いわゆる強いお薬はすぐに効く、感じがするので、患者さんには喜ばれる一方で、副作用の報告や、必要以上のお薬使用による、耐性菌が問題となっています。

泌尿器科外来で、症状が再発したり、お薬が効きにくいということで通っていらっしゃる方を、日々拝見していますと、一回限りだとしても、無責任な処方はできないと強く思います。

泌尿器科医としては、菌の種類や、薬の成分が体に取り込まれる割合、腎臓の機能など、を考慮して、お薬の種類や量・日数を決めています。

とにかく一番強い薬を処方してほしい!と言われることも時々あります。その時には、医学的に正しい、とされている考え方をご説明しています。耐性菌の観点から、本来は、抗菌剤の使い方のルールをみんなで守って行く必要があります。短い診療時間では、なかなかお伝えできないこともありますが、細菌検査の結果や、抗菌剤の内容や服用期間について、いちいちうるさいなあと思われることがあるかもしれませんが、ご理解とご協力(?)いただければと思います。

とはいえ、昨今のお薬不足で、抗菌剤も例外ではありません。処方したお薬が、受け取れない薬局もあります。供給不足ができるだけ早く解消することを願っています。

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